注意欠如・多動性障害(注意欠如・多動症)
(Attention-deficit hyperactivity disorder:ADHD)

ADHDの方は

  1. 不注意
    気が散りやすい、一つの事に注意が向けにくい、忘れっぽい
  2. 多動性
    じっとしていられない、落ち着きがない
  3. 衝動性
    思いついたら考える前に行動してしまう、順番や適切なタイミングが待てない

等の特徴をお持ちです。
大人になると、衝動性や多動性は目立たなくなる方も多いですが、注意力が散漫で仕事上のミスが多い、約束や時間を守れないといった不注意症状は続きやすいと言われています。
そのことにより仕事で叱責されたり、孤立することで、うつ病や不安障害を合併することもあります。

当院では、医師の診察と並行して、診断の補助として心理士による心理検査を行うことが出来ます。
また「大人の発達障害」の診断には幼少期・学童期の情報がとても重要ですので、ご家族の方や配偶者などからの情報があればありがたいです。

治療について

まず、ADHDで大切なことは、ADHDの一般的な症状についてご自身で知って頂き、困りごとをADHDという観点から整理して理解したり、日常生活をうまく運んでいくための対処法を学んでいく「心理教育」です。
具体的には、時間管理、環境調整(気が散りにくい部屋や机などの環境を整える、貴重品をなくさず必要なものがすぐに見つけられるよう整理する)などから始めて頂き、必要に応じて心理士によるカウンセリングも行うことが出来ます。

ADHDは、脳内の神経伝達物質「ドパミン」や「ノルアドレナリン」が不足することで症状が起こるといわれており、成人期の治療薬として、アトモキセチンとメチルフェニデート塩酸塩が承認されています。
小児期に対しては、リスデキサンフェタミンメシル酸塩が2019年に承認されました。

いずれも効果、副作用のバランスを考えて、患者様と話しあいながら治療の選択を決定していくことが必要となります。

自閉症スペクトラム障害(自閉スペクトラム症)

自閉症スペクトラム障害とは、これまで広汎性発達障害、アスペルガー症候群など、別々の障害として取り扱われていたものをひとつにまとめた呼び名です。
人の気持ちを理解するのが苦手、冗談や比喩が理解しにくい、興味のあることを一方的に話してしまう、非言語的なサイン(表情・目配せなど)を読みとりにくい、日課・習慣の変化や予定の変更が苦手、特定の物事に強いこだわりがあるなどの特徴をお持ちの方が多いです。
それらの特徴により、周囲とうまくいかず、「生きづらさ」を抱え、うつ病や不安障害にいたることもあります。

当院では、医師の診察と並行して、診断の補助として心理士による心理検査を行うことが出来ます。
また「大人の発達障害」の診断には幼少期・学童期の情報がとても重要ですので、ご家族の方や配偶者などからの情報があればありがたいです。
どなたにも得意、不得意、特性があり、それらをご自身で理解することを通じて、現在の問題点への対応方法を考え、必要時には適切なサポートを受けることも大切となります。