物忘れ外来

総務省統計局の発表では、2019年9月の時点で、65歳以上の高齢者の方は、3588万人、全人口の28.4%となり、世界で最も高い割合です。
また、内閣府発表(2017年)の高齢社会白書によると、2012年は認知症患者数が約460万人、高齢者人口の15%という割合だったものが、2025年には5人に1人、20%が認知症になると推計されています。
超高齢化社会の日本では、高齢の方の物忘れへの対応が必要不可欠であり、当院では「物忘れ外来」として、診療にあたらせて頂いております。
(予約のとり方は、「初診の方へ」をご参照ください)

もの忘れ外来では、以下の二つが大きな役割と考えております。

  1. 「歳相応の物忘れ」、「認知症」、その中間とされる「軽度認知障害(MCI)」を診断し、早期の対応を開始すること
  2. 「物忘れ」が完治する可能性がある病気を診断すること

以下にその代表的なもの(1~8)を示しています。代表的な認知症(アルツハイマー型、レビー小体型、血管性)と似た症状であっても、治療方法が全く異なり、これらの病気をしっかりと診断するためには、問診や心理検査に加えて、詳しい検査が必要になります。
採血検査や、画像検査(頭部CT、MRI等)、脳波検査を適宜ご提案させて頂き、当院で実施出来ない検査に関しては、連携医療機関へご紹介し検査を実施せて頂きます。

1.高齢者の方のうつ病

やる気がおこらず、億劫になり、集中力が続かないこと等が「物忘れ」と感じられることがあります。

2.せん妄

身体に何かの負担がかかったときに、一時期的に脳の機能が乱れ、「物忘れ」がおこり、時間や場所が分からなくなったり、幻覚が出現することもあります。
身体の病気(入院、手術含む)、薬、アルコールなどが原因となります。

3.正常圧水頭症

脳内の液体(脳脊髄液)が過剰にたまり、脳を圧迫することで、「物忘れ」や、歩き方が不安定になったり、尿が漏れてしまうなどの症状が出現します。

4.慢性硬膜下血腫

頭をぶつけた後に、頭の骨と脳の間に血の固まりが徐々にたまっていき、「物忘れ」や頭痛、マヒなどの症状が出現します。

5.てんかん

高齢の方のてんかんは、身体のけいれんを伴わないことが多く、ボーっとする、動作が止まる、自動症(無自覚で身振りをしたり、口をモグモグする)などの発作が起こり、その後、意識がもうろうとした状態が数時間~数日続くことがあり、認知症と診断されてしまうことがあります。

6.甲状腺機能低下症

甲状腺機能が低下すると、気力がわかず、疲れやすく、動作がにぶくなり、記憶力が低下(物忘れ)することがありあます。

7.ビタミン欠乏症

特定のビタミン(ビタミンB1、ビタミンB12、葉酸等)が不足すると、「物忘れ」がおこることがあります。お酒を大量に飲み食事が不規則な方や、胃の手術をされたことがある方などにおこることがあります。

8.神経梅毒

梅毒を起こす菌が神経に感染すると、「物忘れ」が出現し、認知症と診断されてしまうことがあります。

section主な連携医療機関(五十音順)

  • 医療法人財団 北林厚生会 五条山病院
  • 公益財団法人 天理よろづ相談所病院
  • 社会医療法人 松本快生会 西奈良中央病院
  • 地方独立行政法人 奈良県立病院機構奈良県総合医療センター
  • 独立行政法人国立病院機構 やまと精神医療センター(旧松籟荘病院)
  • 奈良県立医科大学附属病院
  • ハートランドしぎさん