認知症

どなたでも加齢により脳の神経細胞が減少し「もの忘れ」が増えていきますが、「物忘れ」により日常生活に支障が生じる状態が「認知症」です。
認知症の症状には、物忘れ、判断力の低下、時間や場所が分からなくなる等の、「中核症状」と、それらが元となり精神症状や問題行動(幻覚、妄想、興奮、徘徊、怒りっぽさ等)がおこる「周辺症状」があります。

以下のような症状がみられたら、一度ご相談ください(例)

  • 物の名前が思い出せなくなった
  • 何度も同じことを言ったり、聞いたりする
  • しまい忘れや置き忘れが多くなった
  • 財布やクレジットカードなど、大切な物をよく失くすようになった
  • 物事を判断したり理解したりすることが難しくなってきた
  • 映画やドラマの内容を理解できなくなった
  • 時間や場所の感覚が不確かになってきた
  • 慣れている場所なのに、道に迷った
  • 薬の管理が出来なくなった
  • 以前好きだったことや、趣味に対する興味が薄れた
  • 鍋を焦がしたり、水道を閉め忘れたりが目立つようになった
  • 料理のレパートリーが極端に減り、同じ料理ばかり作るようになった
  • 怒りっぽくなった
  • 人柄が変わったように感じられる
  • 財布を盗まれたと言うことがある など

認知症には色々な種類がありますが、およそ半数はアルツハイマー型認知症、次に多いのがレビー小体型認知症、そして血管性認知症と続きます。
これら3つで、認知症全体の約85%を占めていると言われています。

アルツハイマー型認知症

新しいことが記憶できない、思い出せない、時間や場所がわからなくなる等が特徴的です。

レビー小体型認知症

物忘れに加えて、実際にはいない人が見える(幻視)、眠っている間に怒鳴る、手足が震える、小刻みに歩くなどが特徴的です。

脳血管型認知症

脳梗塞や脳出血などによって発症する認知症で、脳の場所や障害の程度によって、症状が異なります。出来ることと出来ないことが比較的はっきりと分かれていることが多く、手足の麻痺などの神経症状が起きることもあります。

診断方法について

問診で、ご本人様と、ご家族様から症状をお聞きし、認知機能検査(HDS-Rなどの心理検査)を行います。
その後、必要に応じて画像検査(頭部CT、MRIや、脳の血流検査:SPECT等) を行います。画像検査は、連携病院に依頼させて頂きます。
また、甲状腺機能低下、ビタミン(B12、葉酸)の欠乏等が「認知症」の原因となっていることがあるため、採血を行わせて頂くこともあります。

治療、対応に関して

適切な診断、介護環境の調整が大切であり、認知症を早期に発見することができれば、進行を遅らせることも出来ます。高血圧、糖尿病、心疾患などの治療をしっかり行うことや、適度な運動なども効果的です。
また、環境調整として、デイサービス等の介護保険サービスの利用を検討することも大切であり、介護保険の申請に関しては当院で意見書も作成させて頂きます。
また、ご本人様のケアだけでなく、介護される方への適切なケアの指導により、周辺症状をやわらげたり、施設入所を遅らせる効果があるとされています。
また、必要に応じて、認知症の進行を遅らせる抗認知症薬を使用したり、周辺症状(幻覚、妄想、興奮、徘徊、怒りっぽさ)に対するお薬を使用することがあります。

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